白壁と雑貨の街|倉敷

倉敷まで散歩。思っていた以上に整った景観と、観光地化されていないことに驚き。街並みが生活に生きている雰囲気を味わいました。

倉敷までは羽田空港から岡山空港まで約1時間20分。岡山空港からはリムジンバスで約30分。JR倉敷駅から美観地区までは徒歩でも15〜20分圏内。午前中の便でお昼頃に倉敷の美観地区に到着。大通りを歩いてきたけど、駅から商店街を通ってくるルートもあり。美観地区に入ると白壁の古い建物ばかりが立ち並ぶ異空間に遭遇。

路地裏に入るとただ古いだけでなく、エアコンの室外機やガスメーターなどがあり、ちゃんと生活できる空間であることもわかる。表札がかかっていることも。個人宅として使われている建物も少なくないらしい。

林源十郎商店を抜けて中庭へ。中庭には児島で作られたデニム製品を扱う店が2件とイタリアンレストランが1件。林源十郎商店は倉敷周辺で作られたアイテムを集めた雑貨店。地域の作家の企画展も開催している。訪れた時は備前焼の二人展が開催中だった。無骨な備前焼とは思えない、繊細なデザインと優しい曲線が印象的な陶器でした。

林源十郎商店の2階で見つけた「かぐらやロール」は衝撃的。靴下みたいな手触りの素材で、筒状になった約80センチくらいの商品。好きなサイズにハサミで切っても、切り口がほつれない編み方をしているとか。もともと畳のヘリを作っている会社で、その技術を応用した画期的なアイテムらしい。
かぐらや ONLINE SHOP

風邪をひいていて足元が寒かったので早速購入。頼んだらその場でカットしてくれた。屋上に出て履いてみると、本当に暖かい。筒状なので靴を脱がずに履けるのも利点。靴下のズリ防止にもなる。パンツの下に着られるレッグウォーマーといった感じか。用途は限定しておらず、手袋やマフラーなど自由に使ってくれとのこと。1日使ってかなり良かったので翌日追加購入。

翌日ランチの後に中庭のデニムショップに寄ってみた。ジーンズ屋さんと思って入ったのに、出てきた男性の店員がベストとジャケットを着たきちんとした服装で好印象。着ていたのはデニムの糸を使ったツイード生地のベストとジャケット。このお店のオリジナル商品で、生地を作るところからプロデュースしており、仕上がりが丁寧かつ同品質のものと比べたらリーズナブル。残念ながら関東圏どころか、倉敷以外では販売しているところはなく、ネットのみでしか購入できない。試着しておけば良かったと今更ながら後悔。
graph zero
ちなみに、オンラインショップのモデルをしているのが、色々と説明してくれた店員さんです。ジャケットとベストしか覚えてないけど好青年でした。

この手前に架かる橋で遭遇した自称ボランティアの有料ガイドさんが教えてくれた大原美術館創設者の邸宅。大原孫三郎の令嬢が正田家に嫁いだというところに釘付け。大原家自体は皇族ではないが、皇族につながる血筋ということに。ちなみに正田家は現在の皇后のご実家のこと。

先ほどのガイドさんと遭遇した橋から見た景色。川を挟んで左右に大原美術館や先ほどの邸宅などが立ち並ぶ。美大生のギャラリーショップに入ってみたけど、その辺のクラフトショップと大差なく、美大を感じさせるアートな作品には遭遇できなかった。

和風な建築ばかりではなく、中には洋風の建築物も。でもこれは和洋が混じった珍しい外観。どちらも飲食店だった。

美観地区に寄り添うようにある阿智神社。階段を登りきって振り返ると美観地区の街並みを一望。奉納された旗はデニムと同じインディゴ染めのよう。白がくっきりと浮き出て引き締まった感じ。瓦屋根のすぐ向こうに見えるのが倉敷の街。通りを挟んだ向かい側は、普通にコンクリートのビルが立ち並ぶ地方都市でした。コンビニも24時間営業で、チェーンの居酒屋もファストフードも至る所にあり、旅行者にも便利な街。

88段の石段を登りきった高台にある本殿。割とこじんまりした社殿。平日なので参拝客は少なく閑散とした印象だけど、掃除が行き届いておりどこも清潔に保たれていました。

社殿より歴史を感じさせる能舞台は、この左手にあるお守りなどの授与所と繋がってました。演者は売店から登城する感じですね。この日は北風が強く非常に寒い日で、境内にはテントをビニールで囲ったストーブが出してあった。祈祷をお願いした人用と書いてあったけど、誰も使ってないのでもったいないから使ってみる。

そういえば全体的に「蔵」が多い印象。蔵をリフォーム・リノベーションした施設も多かった。美術館・博物館はもちろん、レストランや居酒屋、土産物屋など、用途も様々。路地が狭いから余計に蔵の存在感に圧倒される。

夜の美観地区はライトアップされるというので、早めに夕飯を済ませ誰もいない街を期待。派手さは全くなく、ライトを当てると白壁が浮き立つといった程度のライトアップ。むしろひっそりと静かな印象で、昼間とは全く違う印象に。

通りは建物をライトアップせず、道の両脇に灯篭のようなほんのりとした灯り。これもタイムスリップしたようなノスタルジックな雰囲気。

どこも綺麗だったけど、メインは川を挟んだ両隣。数少ない洋風建築は絶好の撮影スポット。狙い通りほとんど人がいなかったので、ゆっくりとアングルを決めて撮影。三脚が欲しいと切に感じた瞬間。

和風ばかりではなく洋風もある倉敷。紡績工場をリノベーションして、ホテルと資料館、クラフトショップなどが並ぶエリア。開館間もない時間のせいかあまり活気がなく、期待したほど魅力は感じなかった。

レンガと蔵に挟まれた魅力的な空間を発見。敷地内は元の建造物を利用した部分と、新たに建設した部分が共存して、統一感はあるけど全体的に新しい印象を受ける。周囲が日本建築に取り囲まれたせいだろうか。大部分はホテル施設で一般客が楽しめる場所はほんの一部のみ。

街中には古い看板が残っているのも見どころ。木製や銅製、スチールなどいろんな素材の看板があった。今でも同じお店が営業している場合もあれば、違うお店が入っているところもあった。もっと早く気付けば看板ギャラリーを作れたのに残念。

倉敷はマスキングテープのブームの火付け役になった「カモ井加工紙株式会社」が誕生した街。マスキングテープがたくさんあるという、ガイドブックにも載ってる「如竹堂」に寄ってみた。倉敷オリジナルのマスキングテープや便箋など紙製品を扱った店で、期待を裏切らずここでしばしの物色。

倉敷町やテープを購入。如竹堂の姿も見える。挑戦しなかったけど、お店で用意した紙バッグかミニうちわに、好きなだけマスキングテープを貼れる体験もできる。暑い季節ならミニうちわ、それ以外の季節でも紙バッグなら、作ってすぐに利用できて便利そう。

寄ってみたかった「蟲文庫」は前後3日間の臨時休業中。そういう時期なのか、ここ以外にも定休日ではないのに休んでいるところが多かった。ランチを食べようと思っていた「旅館くらしき」は全面改装中だったし、町家の「井上住宅」も改修中だった。来月は正月を迎える中華系の観光客が増えそうだし、1月は一番観光客が少ないシーズンなのかもしれない。

ここも寄りたかったけどまだ開店前で時間的に断念。写真家のオーナーが経営する雑貨店。倉敷をきれいに撮る構図の参考になるかもと、写真家の撮った写真を使ったポストカードを見てみたかった。オリジナルグッズも販売しているらしい。店の雰囲気も良さげ。

倉敷町家の伝統を残す住宅「大橋家住宅」を見学。この建物は入母屋造だけでなく長屋門があるのが大きな特徴。本来、大名や上級武士だけに許された長屋門を、米問屋の大橋家が建てることを許されていたことからも、大橋家の当時の隆盛ぶりがうかがわれるとか。確かに広い。

部屋の片隅にシンガーのミシンを発見。国の重要文化財に指定されたのが昭和53年なので、それまでは住宅として普通に使っていたのかも。元の敷地の一部が駐車場に変わってしまったので、敷地部分も慌てて文化財に指定されたのだろうか。敷地が文化財になった57年までの5年間に、醜い相続争いが繰り広げられた様子が思わず脳裏をよぎる。庭も含めて現存していれば、見学できる住宅としてもっと価値も上がったのかもしれないと思うと残念でならない。

邸内で一番高級な部屋。このあと脇息にもたれて写真を撮ってみたけど、当時の人々はいつもこんなに傾いて座っていたのだろうか。床の間の掛け軸の並びが均等でなく気持ち悪い。2階建だが見学できるのは1階のみ。美観地区から離れているのと、路地裏にあり場所がわかりづらいためか、この日は他に見学する人もなく、貸切状態でゆっくりと見学できた。

入り組んだ美観地区の街中には、ところどころにこのような通り抜けが設けられていた。知っているのと知らないのとでは、だいぶ変わるのだがガイドブックにも、駅で入手したガイドマップにも記載はなく、出会いは偶然によるもの。

地図を見ていると美観地区全体は広い印象だけど、実際歩いてみると半日もあればほぼ一周できる。大橋家住宅や大原美術館を見学しなければ、1泊2日の短い旅行でも割と時間が余ってしまう。尾道まで足を延ばすのが倉敷を訪れる際のセオリーなのかもしれない。むしろ美観地区を見終わったら、もうひとつの倉敷の街を見にいくのもありかも。

観光するというより普段の週末のような、美味しい食事をして買い物しながら散歩するくらいの気分で出かけるのがおすすめ。土産物を見るよりも、服や雑貨を見て歩いてる時間が一番楽しかった気がする。

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