花と本格フレンチと寒風の房総散歩|館山

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春を求めて房総半島へ散歩。春はすでに来ていたけれど、寒さは未だ健在でした。

ふと思い立って春先取りの房総半島へ。ネットで見つけた宿を予約して、いざ交通手段を検討すると電車がない。宿があるのは千葉県館山市犬石。グーグル大明神に聞いても、Yahoo!乗り換え案内に聞いても、宣う交通手段は高速バス。

館山までの鉄道はJR内房線。千葉駅から安房鴨川駅までを走る路線だけど、通して走るのは1日に3本だけ。他は千葉〜君津、木更津〜館山、館山〜安房鴨川を分割したダイヤ。最寄りの武蔵小杉駅から9時36分発の横須賀線に乗って、君津で乗り換えて館山に着くのが12時31分。

これが9時28分発の東横線特急に乗って、横浜で高速バスに乗ると館山には11時50分に到着。ちなみに今回の場合、20分も早い11時30分には館山駅前に到着。いきなり出かける前から衝撃の事実に直面。

見事に1時間に1本ペース。

本当にたどり着けるのか不安を抱えながらも、横浜から高速バスに乗って、館山駅で1時間に1本の路線バスに乗り換え、相の浜バス停にある「ふれあいショップ平砂浦」で電動自転車をレンタル。まずは館山ファミリーパークを目指す。

館山ファミリーパークは、日本最大級のポピー畑が目玉。バスツアーの方々も続々到着します。館山駅前のコンビニで買ったおにぎりで腹ごしらえをして、さっそく花畑へ。畑の横の小屋から花ばさみを手に取り、好きな花を摘み取っただけ後から生産するシステム。日帰りではないので今回は見るだけ。

温室の中には「キンギョソウ」や「ストック」なども。それぞれ入り口に料金を表示。

採取用ではない花も花盛り。畑の畝の横や道端には「キンポウゲ」

これは「ヤグルマソウ」?

胸を張って「マーガレット」

バスツアーの方々は摘み終わると、早々に姿を消してしまわれますが、暇な私たちは順路に従ってさらに散歩。金鳳花や矢車草も散歩の途中で見つけた。菜の花畑にも遭遇。撮影時には気づかなかったが、ミツバチが偶然写り込んだ1枚。

花畑は今がシーズンのようだけど、それ以外の場所はこれから花盛りを迎える様子。バラ園やアジサイなんかがあった。

出口へ向かう精算所の先には、植木の販売コーナー。外のテラスに置いてあった苗は正直ひどい状態だったので気にしてなかったが、中の植木はどれも状態が良く、しかも格安。足を踏み入れた途端、母の歩みが止まり、結局椿の苗を2鉢買うという。このあと自転車に乗るという。最後までなかなか諦めきれなかった紫陽花は、写真に収めることで気を鎮めていただく。

植木の後に控えていたお土産コーナーでさらに荷物を増やし、到底観光できる状態ではなくなったため、早々に自転車を返却し徒歩で今夜の宿へ。

宿へ向かう途中、矢印が出ていたので海岸へ出てみた。さすが太平洋。波が荒い。水しぶきが風でカメラに襲いかかるので、さっさと撤収。

ところで房総半島は暖かいイメージしかなかったけど、来てみると非常に寒い。あらかじめ天気予報で調べてあったので、防寒はしてはいたものの、思いのほか風が強い。ファミリーパークを見学中は、それほど気にならなかったが、帰る頃には多少強めに。自転車を返すときに「今日は風も穏やかで良かったですね(笑顔)」と言われ、「え、これで穏やかなの?」と聞き返すと、「吹き始めたら立っていられないですよ(笑顔)」

言われた後、宿へ歩きながら改めて海岸線を見渡すと、確かに全ての木が斜めに立っている。海からの強風で全て陸へ向かって斜めに。風が止まっていても、きっと風が吹いていると錯覚できそうなくらい全部斜め。

この辺りは海岸線に沿ってかの有名な「フラワーロード」も走っているのだが、海との間には広い雑木林が広がっている。湘南あたりの風景とは違い、砂浜の広がる海岸線は見えない。写真の海岸も全て護岸工事されたコンクリート製。同じ千葉県には砂浜ばかりの「九十九里浜」もあるのに、ここは海水浴はできないらしい。

その代わりサーファーには、海岸を削るほど荒い波が好評らしく、「温水シャワー」の看板はいたるところで見かける。翌朝散歩に出かけた時も、数人のサーファーが駐車場から海へ向かっていくのに遭遇した。オートキャンプヴィレッジなんてのがあるのも、アウトドアつながりなのだろうか。

とにかく房総半島なのに寒かったのである。

ホテルについてチェックインをすませると、することがなくなったので、ホテルの裏手にある「ポタジェ」を散歩。ポタジェは響の通りフランス語(potager)。家庭菜園と訳されるが、野菜のほかに果実やハーブ・花を加えた、実用を兼ねた庭といったイメージ。要約するとおしゃれな家庭菜園。

時季的にあまり植わってなかったけど、ここで栽培されてホテルの食卓にも上る。芽キャベツがうまそうだったが、残念ながら夕飯には出てこなかった。ポタジェの向こうには、天気の良い日に富士山が見える、見晴らし台や東屋。

期待を膨らませて夕飯に臨むが、期待をはるかに上回るクオリティ。ホテル自慢のフレンチ・ディナーは、彩り野菜のテリーヌからスタート。炙りサーモンとアワビのソテー入り。カラフルな点々は、左からマヨネーズと白ワインのソース、粒マスタードのドレッシング、マヨネーズとトマトだったかのソース、バジルソース。今まで飾りとしか思ってなかったけど、必要不可欠であることを初めて知る。

人参とさつまいものポタージュ・カプチーノ仕立て。メレンゲのように泡立った牛乳と、ポタージュのハーモニーが絶妙。最後はパンで綺麗に拭き取って完食。

冬カレイのスープ仕立て。カレイの骨からとったスープは、風味が凝縮されていて、透明なのにすごい味わい深い。カレイの皮のぱりぱりの食感がたまらない。カブは硬いほうが好み。

そろそろ赤ワインが回ってきてピントが合わないが、メインの肉料理は和牛ほほ肉の赤ワイン煮。箸でほぐれる柔らかさ。白いご飯が欲しい。

肉を食べられない母には、天使エビ・金目鯛・ホタテのブイヤベース。正直このブイヤベースが一番美味かった。アリオリソースがアクセント。腹一杯で断念したが、残したスープも持って帰りたかった。

トドメに出てきたスイーツは、好きなものを好きなだけどうぞと、8種類のケーキが目の前に。「お腹いっぱいなら、お部屋に持ち帰りますか」との申し出に、4種類チョイスしてお持ち帰り。コーヒーもポットに入れて持たせてくれるホスピタリティの高さ。

しばらくしてから食べたスイーツは、どれも絶品。特に「イタリアン」と名付けられた、チョコレートの入ったマスカルポーネのベースに、ココアパウダーがかかったケーキが美味かった。選ばれなかった残りの4種類の味も気になる。

「腹の皮突っ張れば、目の皮たるむ」

早々に眠くなったので、ホテルの風呂に入って就寝。

ホテルのフロントは夜10時半でクローズ。別棟にあるため、それ以降は入れなくなる。タオルの替えやお茶・お菓子などのアメニティは、それまでに部屋へ持って行くのが必須。ホテルの人も「多めに持っていっていいですよ」といってくれるので、気兼ねなく多めに確保。結果眠くなったので風呂は1回しか入らなかった。未使用のタオルが部屋に3枚残されることになる。

部屋は下がり天井で、一部が高くなっているから、ただでさえ広い部屋が、より広く感じられる。この部屋のベッドはセミダブルとシングル。3人でも泊まれるようにしてあると推測。