anniversary

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ボクは今日も生きていた。


あの日。
びっくりして目を覚ますと食器棚が倒れ、天井近くの棚の本が床に散乱していた。
『明日片付けるの面倒だなぁ。』
眠くてまた眠りについた。
電話が鳴って目が覚めた。
『大丈夫?大変なことになってるみたいだけど!!』
窓を開けると斜め前の家が無くなっていた。
遠くで空に向かって煙が幾筋も上がっていた。
『相当酷いな。俺実家に非難するわ。○○小学校が避難場所になっとった。』
友達から情報を貰い京都の友達に電話する。
『いつでもおいで。俺は大丈夫だから。』
荷物をまとめて外に出る。
知らない人の家の屋根の上を歩いた。
近所の友達の家には誰かの家が道を塞いで行けなかった。
途中の友達の家には手前で炎が歩道まで吹き上げて近づけなかった。
崩れた歩道を歩いた。
橋を渡るのが恐かった。
自衛隊の人に道を教えてもらった。
線路を渡る陸橋が崩れていて渡れなかった。
道を行く誰も口を利かなかった。
ただひたすら歩いた。
電車に乗って。
京都の駅に着いたとき。
夜の町の灯りがまぶしかった。
電気はこんなにも明るかったんだ。
ボクは今日も生きていました。


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