Θは遊んでくれたよ ANOTHER PLAYMATE Θ/森博嗣

Θ(シータ)は遊んでくれたよ (講談社ノベルス)
Gシリーズの2作目。
口紅で「Θ」の文字が書かれた自殺死体が、連続して発見される。果たして偶然なのか、それとも何か関連性があるのか?そしてその目的とは?

自殺か他殺かわからないので変死体と呼んでいいのですかね。登場人物たちの行動と思考の変遷を描写し、変死体たちの行動や思考は全く描写されない手法で構成。もっとも「死者だから口をきけない。証拠は生きている人たちから集めるもの。」なので当然と言えば当然なんですね。登場人物たちは決して「普通」ではないと思うのだけれど、事件そのものが展開し解決していく流れは現実の日常と変わらない流れですね。ドラマのように生前の回想シーンが入ることに慣れきっていたので新鮮な感覚です。いつも事件は主人公たちの身の回りでのみ発生します。そして彼らの間で交わされる会話や頭の中の思考で解決されていきます。事件解決後も主人公たち以外が描写されない徹底ぶりです。最後に事件を解き明かす海月及介が「無口」という設定なので途中で推理を聞けないのも楽しませてくれる要素の一つだと思います。
今回は事件なのか事故なのか、自殺なのかという曖昧なまま最後まで物語が展開していきます。事件性を匂わすただ一つの要素は「口紅で書かれた文字”Θ”」だけ。それ以外は他殺を示す要素も、事故を思わせる要素も見当たらない。かといって、自殺と断定出来る物証も上がらない。何か見落としてることは無いのか?とみんなで試行錯誤するけどなかなか糸口が見つからない。思考の末たどり着いた真実とは?
何となく真相はこうだろうというところまではたどり着いたのですが、完全な真実にはたどり着けなかった。やはり序盤戦がキーですね。どうしても序盤戦って「これから盛り上がる」ってところだから見落とすことがたくさんあってなかなか全部を見切れてないというか。
今回も最後まで楽しませてもらいました。


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