アナザー・プラネット

アナザー プラネット [Blu-ray]

Another Earth (2011)

SFかと思って観てみたらヒューマンドラマだった。登場人物にほとんどセリフがなく、テレビやラジオから流れるリポートが映画のストーリーテラーになっている、不思議な感覚の映画。なかなか面白かった。これも日本未公開なんだね。

監督:マイク・ケイヒル
出演:ブリット・マーリング/ウィリアム・メイポーザー/クマール・パラナ

本編が93分とタイトな僕にはちょうど良い長さ。もう一つの地球がテーマなのかと思ったら、交通事故で2人を殺してしまったローダと、被害者のジョンの2人の内面を描写したヒューマンドラマ。面白いのは主人公のローダと、事故で1人生き残ってしまったジョンの2人には、ほとんどセリフがないところ。ローダの心の中の声的なものは、テレビやラジオのコメントがもう一つの地球をレポートする形をとって、ナレーションのように流れてくる。彼女がしっかりと自分の思いを口にしたのは、ラストと一緒に働いていた老人をお見舞いに行った時くらいぢゃないかな。

タイトルにもなっているもう一つの地球は、人間の内面にあるもう1人の自分を象徴しているだけで、その星の描写はそのままもう1人の自分との対話を表現しているように思える。事故を起こして2人を死なせてしまったローダを通して、人間の作り出した表面的な社会での存在理由がいかに脆いかを表現し、人間が存在する理由とは何かを問いかけるような内容の映画でした。90分と短い割りには結構深いと思う。「キリスト教的な許しがテーマ」というレビューに、なるほどねと納得。