迷宮百年の睡魔/森博嗣

迷宮百年の睡魔 (新潮文庫)
周りを海に囲まれた城塞都市イル・サン・ジャックの女王はかつて訪れたルナティックシティの女王デボウ・スホと瓜二つだった。王宮モン・ロゼに招かれた同じ夜、首を切り取られた僧侶の死体が発見される。

森博嗣特有の抽象的で難解な内面的イメージがSFと相まって更に高度に複雑化。
前作と同様に科学の進んだ世界の中では無駄と言える古い営みを続ける都市に訪れるところから物語が始まる。前作は迷い込んだが今回は自ら赴いた形。
多分2作品に共通するテーマは「存在」と言っていいのだろうと思う。クジ・アキラやスホ親子、主人公サエバ・ミチルなどそれぞれの登場人物達の「存在」が常に疑問的視点から俯瞰し同調し表現されている。事件の真相も「存在」に関わる点が動機なのも2作に共通している。
「誇りを持って生きなさい」
メグツシュカ・スホの言葉はサエバ・ミチルに向けられているが、同時に読者にも向けられている様に感じるのは僕だけだろうか。


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