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図書館内での撮影はご遠慮ください|神奈川県立図書館

閲覧席の大きな開口部を可能にしたのは図書館の構造に秘密が「図書館建築ツアー(館内撮影OK)」で撮影

神奈川県立図書館で開催された「図書館建築ツアー(館内撮影OK)」に当選したので行ってきた。
図書館大公開

午後から約2時間のツアー。最初は建設当時の無声フィルムの上映。建設場所が決まってから完成するまでの様子が収められたフィルムは、当時の様子が丁寧に記録された貴重な資料のひとつ。当たり前なんだろうけど、観て改めて気づかされたのは、今建設現場で見られる大型の重機が、当時は何一つなかったこと。

地面を掘ったり平らにしたりするのも全て人力。基礎のコンクリートを流し込むのも人力。コンクリートを運ぶのももちろん人力。唯一見かけた大型の道具はダンプカーだけ。高さのある建物を建てるのは、かなり困難だったに違いない。

人の手だからこそ出来たことも多い。工場で生産される画一的な資材だけでなく、オリジナルのパーツを使えたのは、パーツも手作りだったからこそ。外壁に採用されたホローブリックもそのひとつ。古い建築にある独自の風合いは、単に古いだけでなく、それぞれが人の手を経ているから感じられるのだと思う。

ほとんどフィルムを見るだけの講義が終わると、いよいよ図書館内ツアーへ出発。休館日で他の来館者はなく、館内はツアーの参加者と職員のみで、職員がツアー中の説明と案内を担当。予想外に応募者が多く定員を増やし、急遽2チーム編成での建築ツアー。見どころは事前に配布された資料にも、カメラマークでマークされているので、まずはじっくりと図書館員の説明に耳を傾ける。

1層から見た2層書架「図書館建築ツアー(館内撮影OK)」で撮影

ツアーの後は図書館内を自由に撮影。まず入ることはない書庫の撮影も、今回は特別に許可。

今回のツアーに参加して最も印象的だったのが、図書館の構造とこの書庫の位置関係。中心に作られた書庫が、大きな柱の役割を果たし、周囲を支える構造になっている。強度を上げるため、書庫内の書架の柱が上下の階層を貫いているため、隙間から上下の階層が繋がっているのが見える。照明を落とすと下の階層からの明かりが漏れて、ライトアップしてるかのような幻想的な雰囲気だった。残念ながら危機管理上、撮影時には照明を落とすことは許可が下りなかった。

神奈川県立図書館の建物は、黒・緑・黄が当初のテーマカラー。黒メインに見える館内にも、よく探すと緑と黄色も見つけられる。

一面がガラスの窓側にある黒い鉄の柱は、内側だけすべて金色にも見える黄色い塗装。他にも書庫の中の上下層をつなぐ螺旋階段の色にも使われている。但し、書庫の階段の黄色は、60年の歳月の中で別の色に塗装されていたような印象。周囲の塗装の具合と比較すると、後からそこだけ塗り直したように見える。とはいえ、どこからも見えない書庫にまで、配色をこだわるあたりに好感度アップ。

緑色は正面玄関の階段の手すりの支柱に使われている。トーンが違うけど壁に使われている色も緑と言えるかも。開館当初より少なくなったとはいえ、現在も当時の色を使っているのだから、その間の経緯など実際関係ない。そもそも定期的に塗装を繰り返していることに、建物を長く使おうという気持ちが感じられる。

最近出番の減ってしまったミラーレスを持ち出し、一心不乱に写真を撮りまくったけど、図書館の見どころは神奈川県立図書館のホームページで公開されています。自分では撮影できなかった照明を落とした書庫や、撮り忘れた正面玄関の階段のほか、当時の図書館の様子など、たくさんの写真を見られるので是非。

神奈川県立図書館本館写真集

帰りにiPhoneで撮った入り口の写真。右手に一部の写っているのがホローブリック。横浜の季節ごとの太陽の角度を計算し、夏は日を遮り、冬は奥まで差し込むように、厚みや高さにこだわった県立図書館オリジナル。

当時のブリックを作った会社はもうなくなっていたので、現在のホローブリックは復刻版。2011年の修復で1部分になってしまったけど、将来元の姿に戻せるよう対策済み。ホローブリックの写真も、図書館公開の方が綺麗です。

たまたま見つけた図書館建築ツアーだったが、想定外に面白かった。今の勤め先の図書館も築52年で、県立図書館と似たような構造の元書庫があるが、書庫以外に構造強化の役割を果たしているとは思えない。12年の間に建築技術も進歩し、図書館構造の在り方も変化したのだろう。他の部分の階層構造とズレのある、1層2層という構造は踏襲しているが、形骸化して残っただけなのかも知れない。移動書架が登場したことで、収納力の高さの方が現在は主流なのだろう。今度は新しい図書館のツアーがあれば、是非とも参加してみたいものだ。

※県立図書館で館内を撮影したい場合、事前の申し込みが必須です。掲載した写真は、「図書館建築ツアー(館内撮影OK)」で撮影したものです。

By pure

散歩・カフェ・映画。これがあればだいたい生きていけるんぢゃないかと思う。

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