Anniversario

あれから21年。


昨日の夕方、母が『神戸新聞の7日間』を見ていた。
写っていた街の光景を見て、ふと記憶が蘇った。

地震で目を覚ますと隣の部屋の食器棚が倒れているのがわかった。
天井近くの棚の本が床に散乱していた。
いつも枕元に置いてある眼鏡が見当たらなかった。

明るくなって窓を開けると斜め前の家が無くなっていた。
空に向かって煙が幾筋も上がっていた。
炎も見えた。

僕の実家は関東にあることを知っている友人から避難場所の情報を貰った。
友人の実家のある京都は被害が少ないらしい。
京都で一人暮らしをしている高校時代のの友達に電話をした。
リュックに荷物をまとめて外に出た。

崩れて道をふさいでいた知らない人の家の屋根の上を歩いた。
電話の繋がらなかった友達の家には誰かの家が道を塞いでいて行けなかった。
バイト先の友達の家には手前で炎が歩道まで吹き上げていて近づけなかった。
凸凹に歪んで崩れた歩道を歩いた。
渡ろうと思っていた橋は崩れ落ちていて渡れなかった。
日が暮れると辺りは真っ暗になってしまった。
車道を走る車のライトだけが足元を照らしていた。
街灯はついていなかった。
真っ暗だった。

知っている街はどこかに消えてしまっていた。

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By pure

散歩・カフェ・映画。これがあればだいたい生きていけるんぢゃないかと思う。