青い翼に乗って九州宮崎まで散歩。「球団がキャンプに行くくらいだから、多少は暖かいのだろう」という期待を込めて、フェニックス・シーガイア・リゾートに1泊旅行。シーガイアというくらいで海の季節がメインシーズンだけれども、シーズンオフの2月でもサイクリングやトレッキングなどのアクティビティを楽しめるリゾート。特にゴルフコースは有名らしい。

宮崎空港からはホテル提携のタクシーを予約してあったので、宿泊先のシェラトンまで約30分のドライブ。チェックインまで時間はあったけど、フロントに荷物を預けて早速ランチへ。

フロントと同じ階にある宿泊者専用の「風待ちテラス」には、靴を脱いでくつろげるスペースがあり、併設されたベーカリーでパンとドリンクを購入し、そのままそこで食べられるのがポイント。ソファもあるけどフカフカのカーペットを敷いてあるので、むしろソファに寄りかかって床に座るのがベストなくつろぎ方と思われる。

天気が良ければテイクアウトのランチボックスをお願いして、外で食べようかとも思っていたけど、外はあいにくの雨で今回は断念。それでも写真の奥に写っている「チキン南蛮サンド」が意外に美味しかったので満足できた。期待していた「黒カレーパン」(カップの右)は、ゴロッと肉は入ってたけど、他に特徴がなく普通だったのが残念。チョコのパンは過剰だった。

腹ごしらえの後はチェックインまで付近を散歩。多少雨も止んできたのでリゾートの外に出ることに。

気になっていた「フローランテ宮崎」は、外観は普通の建物なんだけど、その向こうに広がる庭園は想像を超える素晴らしさ。この後行こうと思っていた「江田神社」は翌日になってしまうほど、時間があっという間に過ぎてしまった。

まず圧倒されるのは緑のキレイさ。この濃いグリーンがあるからこそ、随所に植えられた花々の色が引き立つ。花も一面に植えるのではなく、グリーンを背景にできるようランダムに配置されている点が、フローランテ宮崎を魅力的にしている理由の1つだと思う。

何より働いている人たちが、本当に植物が好きで働いていることも、庭園を美しくしているに違いない。まだ雨がぱらついていたので、庭園に出て最初に向かった温室では、数名の庭師の人が作業をしていたが、どの人も見た目寡黙そうな「職人」風。話しかけるのもためらわれたが、予想に反して向こうから挨拶してくれる。そのうえ温室にある植物の1つ1つについて、特徴や育て方まで訥々と語ってくれた。

濃い緑には特に白い花がよく映える

「1年中植物の世話するのは大変ですよね」と訊いて、「いやいや、1年中いろんな変化があるから楽しいよ」って返ってきたときには、『ああ、この人たち本当に植物が好きでこの仕事してるんだなぁ』とつくづく感じた。

別のところで聞いた話によると、この施設は「グリーン博みやざき’99」のメイン会場だった場所。現在は宮崎市が所有して運営しているとのこと。以前は指定管理者が入っていたようだけど、現在は多くのボランティアが運営に参加している様子。もしかしたら職人風に見えた彼も、そのボランティアの一人だったのかも。自ら進んでボランティアしに来てるんだから、年中楽しくて当たり前か。

樹木にぶら下がるラン科植物

園内にはもちろん、緑だけでなく色とりどりの花が植えられていたんだけど、特に印象的だったのがこのランの花。いままでこんな風に他の木にぶら下げられているのを見たことがなく、見つけた時には衝撃を受けた。

本来ラン科の多くは他の植物に着生する性質なので、この姿が最も自然な姿なんだけど、今まで鉢植えや上から吊るされているものばかり見ていたので、この展示の方法は斬新だった。自然な状態で栽培することで、より生き生きとした姿を見せてくれるのかもしれない。

他の植物の植えられている様子も、よくある同じ種類の花が一列に並んだレイアウトよりも、ランダムに数種類が植えられている方が圧倒的に多く見られる。かの有名なターシャ・テューダーの庭みたいな感じ。

園内の植栽には「玄関」とか「壁」とかテーマに沿った数種類のガーデニングを、順路に沿って見られるようになっているところも数カ所。色をテーマにしたガーデニングは、「こんな花もあるんだ!」というような植物にめぐり合うこともあり、どの場所も見ていて飽きることがなかった。黒いパンジーなんて初めて見た。

全体的に色に対するこだわりも感じられ、見ている人を楽しませるためのガーデンだなぁ。この近所に住めるなんて羨ましすぎる。新宿御苑の200円も破格だと思ってたけど、こんなに素晴らしい場所の入場料が、立ったの310円だなんて安すぎる。

晩御飯に選んだのは、ホテル内にある和食の店「米九」さん。店の名前にあるように米が主役で、それに合う料理を提供するお店。

ホテル内にあるレストランは、肉メインのお店が多く、お値段もそれなりに高めの設定。手頃なのは夜もビュッフェ形式の「パインツリー」とここくらいか。

「パインツリー」は朝食のレストランに指定されていたので、肉を食べられない母のためにも、お財布のためにもこちらを選択。開店と同時に店に行ってみるも、平日にも関わらず予約が多数入っていたようす。予約していなかったので食いっぱぐれるかと思いきや、すぐに席を用意して通してくれた。こういうところではなんでも事前に予約して多くことが大切らしい。食いっぱぐれなくて良かった。

お米は「ひのひかり」という宮崎県の農業試験場で生まれた品種。他にも2種類用意されているが、ひのひかり以外は注文が入ってから炊き上げるので時間がかかる。せっかく宮崎に来たのだからご当地のお米を食わない手はない。迷わずひのひかりを選んで、美味しそうなものもいくつか注文。

「あて九品」は地元の伝統的な味覚と、馴染みのあるご飯のお供が載った一皿。ご飯のあてなだけあって少々味は濃いめ。「ゆず味噌の唐辛子入り」は本当に美味しくて、食べた瞬間に二人で「お土産に買おう」と意見の一致した一品。漬物は味噌漬けなのにさっぱりとした薄味。大根はこれだけ色がつくと普通はしょっぱいのに、ほんのり味噌の味のする程度で好みの味。

他にも、刺身もとても新鮮で、特にイカはネットリとした甘さで柔らかかった。チキン南蛮は今まで食べたものの中で一番甘口だったけど、想像以上に軽くてペロッと食べられた。

肝心のお米の方は、柔らかめのご飯が好きな二人には口に合わず、「やっぱりつや姫の方が美味しいね」と意見の一致を見て終了。

ご飯に合うなら日本酒にも合う。

飲み比べできる日本酒のセットを注文したけど、正直料理に集中しすぎてあまり味は覚えてない。

日本酒よりも焼酎を注文する人のが多いらしく、日本酒の扱い方はありきたりなグラスだし、下に敷く紙の印刷はズレてるしと、あまり人気のない様子が伺える。

一方の焼酎の方は、地元の陶芸作家が作った陶器で提供されるらしい。伝統的な和風のインテリアのようで、使っている器は割と斬新なデザインの和食器が多かった。気に入ったら地下のショップで購入できます。自分の好みではなかったので、1枚も写真がなかったのはご愛嬌。

二日目は前日に行けなかった「江田神社」を目指して散歩。こじんまりした神社だが、中を見ると綺麗に整えられていて、朝日が差し込む様子が神々しかった。今日も1日良いことがありそうな予感。

神様のご利益があったのか、興味があって向かった「英国式庭園」で素晴らしい発見。松林の中に突如現れる「英国式庭園」は、こじんまりしたイギリスの田舎風の建物と庭を再現。先のグリーン博で作られたもので、すでに20年は経っているのに、庭も建物も状態が良く寂れた雰囲気が全くない。

建物に使われている資材は、全てイギリス本国から運んだとか。設計の段階からイギリス人技師も交えて計画され、細かな指導を受けながら建てたので、時間が経って風合いがプラスされているのかもしれない。

見えている窓や扉は、一部を除いてほとんどがダミー。実際は開かないはめ殺しのデコレーション。煙突の下にも暖炉はなく単なる飾り。それでも色の塗り替えや、外壁の掃除は定期的に行なっているようす。庭園を見ている間はいなかった作業の人が、帰るときには一人いて庭や周辺で作業をしてた。

建物の中は外観と異なり全てが屋根までの吹き抜け構造。コンクリートの打ちっぱなしで、ティールームになってた。今の指定管理になってから始めたそうで、薪ストーブもその時に設置したとか。窓がはめ殺しのせいで、室内の温度管理が難しいと言ってた。特に夏の暑さは大変らしいが、利用者の意向もあってエアコンは設置してない。

この日は天気に恵まれ、日向にいれば割と暖かい。すでに空気自体がだいぶ温まっているようで、多少風が吹いてもさほど寒いとは感じなかった。それでも日陰に入るとひんやりするので、薪ストーブはありがたかった。

周囲の庭を堪能した後、せっかくなのでお茶をすることに。まださほど歩いてないのだが、この場所でどうしてもお茶したかった。ケーキも美味しそうだったので、別々のケーキを選んで紅茶とのセットを注文。ポットで提供される紅茶は、わざわざ別の種類を淹れてくれた。聞いたことのなかった紅茶の名前を、もう一度確認しなかったことが悔やまれる。

この日はひとりで切り盛りしていたが、週末は訪れる人も多く2〜3人で切り回すとか。この日のスタッフの女性は、横浜や鎌倉で紅茶の勉強をしたらしく、なんとか言う資格も持っているそう。紅茶を飲むのも好きで、ご主人の仕事の関係もあり、日本全国あちこちの喫茶店巡りもしてきた生粋の紅茶好き。選んでくれた紅茶も美味しかった。

お茶のあと少し周辺を散歩して、ホテルへの帰途も徒歩で移動。ケーキを食べたせいもあって、しっかりとランチする気分ではなかったので、お菓子を買い込みホテル内にある宿泊者専用の場所で休憩。

ここは夜になるとガスの焚き火が焚かれ、覆ってあるテントのおかげで意外と寒くない。昼間は逆にテントのせいで日が当たらず、思っていたより肌寒かった。中途半端な時間帯のせいか、誰も来ないのでゆったりとくつろぎモード。

ホテル内の風待ちテラスのベーカリーカフェでは、テイクアウトのランチボックスを作ってくれるので、それを持ってきて食事をしてもいい。夜はすぐ横にあるバーから、フードやドリンクを持って来るのもオーケー。くつろぎ方の自由度が高いのも、快適さの理由のひとつだと思う。

実はさほど期待していなかったんだけど、きてみたら想定外に心地よかった。気温が暖かかったことに加えて、思った以上に花があちこちに咲いていたことで、人の家の庭で小一時間過ごせる二人には、もってこいの場所だった。

朝食の時間にはびっくりするほどの人がいたのに、前日もその後もほとんど人影を見ることがないくらい空いていたのも快適だった。多分ホテル周辺にずっといたのは、僕らふたりくらいだったに違いない。多くの人は球団のキャンプの見学に行ったり、ゴルフコースに出たりするのだろう。ノルディックウォーキングをしている人もいたので、もっとアクティブに過ごすのかもしれない。

最初からのんびりするのが目的だったので、散歩以外のアクティビティは全く何もしなかったけど、フローランテ宮崎と江田神社だけで、通常の人の倍以上は歩いたと思う。そういう意味では他の人に負けず劣らずアクティブだったはず。

Published by pure

散歩・カフェ・映画。これがあればだいたい生きていけるんぢゃないかと思う。

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